展示施設 : みよし観音エリア
Tea House は、建築を「もてなし」と「立ち会い」の場としてとらえ、記憶や場所、そしてアイデンティティの絶え間ない交渉に寄り添う、やわらかな記念碑のような存在です。 このティーハウスは、祭りや芝居の野外公演で用いられる近代的な陣幕に似た、仮設のパビリオンです。4枚のカーテンのような壁で構成され、屋根はなく、周囲の環境に溶け込みながら、太陽の動きによって移ろう光と影の変化をそのまま受け入れます。 名前の由来は、この場所にかつてあった小さな茶屋にあります。その茶屋は、六甲山を訪れる人々の憩いの場として長く親しまれましたが、すでに廃屋となり、最近取り壊されました。Tea House は、その茶屋の床面の輪郭とほぼ同じ大きさをなぞることで、その役割を引き継ぎ、再び六甲山を訪れる人々が集い、休む場所としてよみがえらせています。 壁面には、台湾の伝統的なテキスタイルデザインから着想を得た模様が描かれています。それらは、日本や中国、西洋ヨーロッパの影響を受けた歴史を内包し、花柄と幾何学模様が組み合わさったデザインです。中でも桜とタータンチェックを組み合わせることで、内と外、伝統と現代、公共と親密さといった相反する要素が交わる空間を生み出し、神戸という異文化が交差する港町の歴史を静かに映し出しています。